左手で給食を食べるみーちゃん
2020年 02月 29日
今日のみーちゃんは給食に苦戦しています。
みーちゃんは、昨日の体育の授業の跳び箱で失敗して、右ひじのじん帯を伸ばしてしまいます。
小田島整形外科に行って治療してもらい、当分右手を三角巾でつるさなければならなくなります。
みーちゃんは右利きです。左手で細かいことができません。ですから、ご飯はおはしではなく、左手でスプーンを使って食べることになります。
今日の給食はカレーライスです。
みーちゃんにはカレーを食べる時のこだわりがあります。白いご飯の上にカレーをかけてスプーンですくって食べています。カレーとご飯を混ぜることは絶対にしません。
ところが、それがうまくできません。
カレーをご飯にかけることはできます。これは簡単です。けれども、そのご飯をスプーンでうまく救えないのです。
──うまくできなーい!なんで?くやしー!
「みーちゃん、手伝ってあげるよ!」
みーちゃんがうまく食べられないのを見かねた隣の席の隆文くんがそう声をかけます。
「いいよ。これくらい自分でできるから」。
みーちゃんにはプライドがあります。それに、隆文くんはきっとカレーとご飯を混ぜてしまうに違いないのです。
その時、突然、岩田先生がこう注意します。
「なんだ、そんな言い方をしてはいけないぞ!隆文は親切心から言ってくれてるんだよ」。
それを聞いたみーちゃんは人の気持ちは大切にしなきゃいけないと納得して下を向いたまま、隆文くんにこうつぶやきます。
「お願い、やって」。
「うん!」
そう元気に言うと、隆文くんはみーちゃんからスプーンを受けとり、カレーとご飯を勢いよくかき混ぜ始めます。
──あ~あ、混ぜちゃった、だから嫌だったんだよな~、でも、しかたないか…
たまには岩田先生も正しいことを言うなと思うみーちゃんなのです。